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シロアリの生態について

シロアリ駆除の前に生態を知ろう

シロアリの生態

シロアリとは?

シロアリは、木材に含まれるセルロースを主食としている昆虫です。日本には20種類ほど生息するとされており、枯れ木や倒木を分解して土壌をきれいにする“益虫”として、自然界において大切な役割を担っています。しかしシロアリの中には、住宅に使われる木材を食べてボロボロにしてしまう種類もいることから、人間にとっては“害虫”として脅威をもたらす存在とされているのです。

シロアリとクロアリの見分け方

特徴 シロアリ クロアリ
見た目 シロアリシロアリ クロアリクロアリ
触覚 真っ直ぐな数珠状 くの字状
羽の大きさ 全て大きさが均等 前後で大きさが違う
胴体 寸胴でくびれがない 腹部にくびれがあり、頭部・胸部・腹部に分かれる
発生時期 4~7月頃 6~10月頃

シロアリとクロアリを見分ける大きなポイントは、羽の大きさと胴体のくびれです。シロアリは前後の羽の大きさがほぼ同じであるのに対し、クロアリは前後で大きさが異なります。また、シロアリはくびれがなく、クロアリは腹部がくびれています。他にも、触覚の形や、発生時期にも違いがあります。そもそもゴキブリ目に属するシロアリと、ハチ目に属するクロアリは生物学上まったく別の生き物なのです。

日本に生息する代表的な3種類のシロアリ

ヤマトシロアリ

日本に生息する代表的な3種類のシロアリ日本に生息する代表的な3種類のシロアリ
  • 生息地

    北海道北部を除く日本全域に生息しています。被害件数がもっとも多い種類で、家屋に発生するシロアリのほとんどがヤマトシロアリです。

  • 活動時期

    1年中活動していますが、特に4月~5月の暖かい昼間に活発になります。羽アリとなって一斉に飛び立つ「群飛」が見られるのもこの時期です。

  • 巣の場所と規模

    土の中や水回りの床下などの湿った木材を好み、加害箇所をそのまま巣(コロニー)にすることが多いです。数千~数万匹の巣を形成します。

イエシロアリ

イエシロアリイエシロアリ
  • 生息地

    千葉県・神奈川県以南の沿岸部、南西諸島、小笠原諸島など、太平洋側の暖かい地域に生息しており、日本北部ではほとんど確認されていません。

  • 活動時期

    1年中活動していますが、6月~7月の夕方から夜にかけて特に活発になります。羽アリは、夕方以降に家の明かりや街灯に集まってくることもあります。

  • 巣の場所と規模

    土の中に塊状の大きな「本巣」をつくり、そこから蟻道を伸ばして「分巣」をつくります。一つの巣につき100万匹以上増殖します。

アメリカカンザイシロアリ

アメリカカンザイシロアリアメリカカンザイシロアリ
  • 生息地

    輸入家具や木材を介して海外から飛来した外来種です。本州から九州まで日本各地に生息しており、特に関東以西での被害が多いです。

  • 活動時期

    1年中活動しており、羽アリが飛び出す時期は地域などの条件によって異なります。特に6月~9月の昼間に活発になることが多いです。

  • 巣の場所と規模

    その名の通り、乾材(乾いた木材)を好みます。巣をつくらず、数十~数千匹の集団を形成してバラバラに点在し、発見と駆除が難しい種類です。

家に被害を与えるのは働き蟻

シロアリは社会性昆虫と呼ばれ、数万~数百万匹単位で巣(コロニー)を形成し、階級によって役割分担をして活動しています。その階級のことを『カースト』といい、女王アリ・王アリを頂点として高度な社会組織を営んでいます。その中で巣の約90%を占める働きアリ(職アリ)は、餌の調達や巣の構築、卵・幼虫の世話などを受け持っており、家屋へもっとも被害を与えているのもこの働きアリです。

家に被害を与えるのは働き蟻家に被害を与えるのは働き蟻

シロアリの組織

女王アリ・王アリ 巣から飛び出した羽アリは地上に降りて羽を落とし、つがいとなったメスとオスが営巣して女王アリと王アリになります。集団を繁栄させるため、働きアリが育ったあとは交尾・産卵によって子孫を増やすことに専念します。1つの巣の中にいるシロアリはすべて女王渡王の子どもで、家族ということになります。寿命は10年以上と昆虫の中では長命で、一生のうちに100万個以上の卵を産むとされています。
ニンフ・羽アリ 将来の女王アリ・王アリ候補で、副生殖虫とも呼ばれています。後に羽アリとなり、別の場所に営巣して集団を繁殖させることが主な役割です。女王アリや王アリが死んだり傷ついたりした場合やコロニーが分断された場合にも、女王と王に代わって交尾・産卵を行います。巣が未熟な段階では出現しませんが、巣が大きくなると羽アリとなって巣立っていき、女王・王となって新たな巣をつくります。
兵アリ コロニーの約2~3%を占めており、外敵から巣を守る役割を持っています。ヤマトシロアリの兵アリは頭部が大きく発達し、アゴはハサミ状になっています。イエシロアリの兵アリは、身の危険を感じると額腺孔から白い粘液を分泌して戦います。巣の周辺の警備や緊急時以外は巣の外に姿を現すことはありませんが、羽アリが群飛する時期に羽アリを守るために一緒に巣から出てきます。
職アリ コロニーに生息する個体数の90~95%を占める階級で、働きアリとも呼ばれます。餌の採取・運搬、巣や蟻道の構築・維持管理、他階級や幼虫の世話など、あらゆる仕事を担っています。オス・メスの区別はありますが、生殖機能はありません。多くの場合、餌を吐き戻すか肛門から出したものを巣への仲間へ給餌しています。採餌を行う唯一の階級であり、家屋に被害を与えるのはこの職アリです。

シロアリが発生する場所

多くのシロアリは、光が当たらず風が入らない、湿気が多くじめじめした環境を好みます。そして、その周辺の木材や地中に巣(コロニー)を形成していきます。

水回り部分 お風呂/洗面所/トイレ/台所
室内 和室/屋根裏/天井裏/リビング/その他お部屋
屋外 玄関/ベランダ/ウッドデッキ/ログハウス/植木/お庭/植木/畑

シロアリの発生原因

湿気が高い環境である

シロアリは乾燥に弱いため、湿度が常に高く保たれている場所を好みます。生存するには液状の水が必要不可欠なので、浴室や洗面所といった水回り付近の土台・床・柱、乾燥しづらい家屋の北側、雨漏りや水漏れを放置している箇所、近くに川が流れている家などはシロアリが発生しやすいです。

エサとなる木材が豊富にある

家屋の床や柱などに使用されている木材はもちろん、ウッドデッキや植木のように家屋の外にある木材も、雨で湿って腐食するとシロアリが好む場所になります。また、家屋の周りに木材を放置しておくと、そこを餌場としてシロアリが寄り付きやすいです。他にも、本や畳、ダンボールも餌になります。

シロアリによる被害例

  • 壁の歪みや床の沈みがある
  • 玄関や室内ドアの建付けが悪いと感じる
  • 粒状のフンのようなものが落ちている
  • シロアリの羽のようなものが落ちている
  • ウッドデッキや庭木がボロボロになっている
  • 家の中や周辺で羽アリを見かける
  • 外壁や木材に土のかたまり(蟻道)がついている